平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
だが、ジェドの相棒獣とはなれなかった。

歴代のグレイソン伯爵家の中でも、もっとも濃く血を受け継いだ優秀な後継者として生まれたせいだった。

その白獣は、もうかなりの高齢でもあった。せめて最初で最後の相棒獣として、隠居した父の元で静かな暮らしを送って欲しい、と、彼はその白獣に命じた。

『それで良(よ)いのですか、ご子息様』

美しい慈愛に満ちた目をした、メスの白獣だった。

『私が離れれば、あなたと長時間共に戦える白獣は、この獣騎士団からいなくなります』

『フッ、最後まで俺を子息呼ばわりだったな』

いいんだ、とジェドは父の白獣に答えた。

『お前、本当は闘いが好きではないんだろう』

『――』

『早めに引退した父上もそうだった。そうして母上と、そして父上がいる団欒の光景を見ている時が、お前はいつもとても幸せそうだった』

『――…………祖父の代から、私はここにおりました。あの二人が出会い、結婚し、あなた様が生まれた日も全てそばで見届けました。私にとって、あの二人は子も同然なのです、ご子息様』

白獣は本来、戦うことに生き甲斐を持つ種族だった。

それでも『彼女』は少しだけ違っていて、幼獣達の世話を手伝っている時ほど、穏やかで幸せそうな顔をしているような白獣だった。

ジェドは、その白獣を父の元へと返した。
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