平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
彼は、団長である前に伯爵で貴族紳士だ。多分、それについて指摘しているのだろう。

目の前からじっと見てくるジェドの美しい顔を見ていたら、まとっている空気が自分とは全然違っていることを今更のように思い出した。

この人、そういえば領主様でもあるのよね……。

住んでいる世界の違いを感じていたリズは、返す言葉に詰まった。近くに腰を下ろしているカルロから、馬鹿を見る呆れた視線を向けられているのが分かった。

「あの、団長様に下心があるから、という意味じゃなかったんです」

ほんとうですよ、と困った末にリズは弱々しく伝えた。

「そもそも大人な団長様が、私みたいな子供をなんとも思ってないのは知っていますし」

「――ふうん。俺が大人、ね」

ジェドが思案顔で、よそを見やって言う。

「大人だから、獣にじゃれられて好きにされているお前を見ても、何も感じなかった、とお前は言いたいわけか」

確認するように目を戻される。

大小の白獣にナメてかかられているのを呆れたんですよね……獣騎士ではないので仕方ないのにな、とリズは困ったように見つめ返した。

「えぇとこれは一週間ぶりのスキンシップでして――」

「じゃあ、下心からだったら?」

不意に台詞を遮られた。

いきなり話が先程に戻って、リズはハタと言い訳をとめた。

「俺が『隠すのか』と訊いたのが、下心からの質問だったら?」

ジェドは、ガラス玉みたいに美しい青い目で見据えてくる。
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