お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~

「まあ、これでも食べて元気出してよ」

「わっ、これ食べたかったの。嬉しい!」

 拓海が買ってきてくれたのは、新商品の抹茶クッキーが入った抹茶アイスを抹茶チョコレートでコーティングして、さらに抹茶ウェハースでサンドしているという、和菓子党の私にはたまらない抹茶づくしの一品だった。

 ローテーブルを前に床にぺたりと座り、いそいそとパッケージを開ける。

「うん、おいしい!」

 一口頬張ると、口の中にほろ苦さとほんのりとした甘さが広がる。私好みの味で、あっという間に食べ終わってしまった。


「さすが拓海、私の好みを熟知してるね」

「当たり前だろ。でも見てろよ、そのうち夏美の小遣いがなくなるくらいアイス買わせてやるからな」


 本当に負けず嫌いだなあ。でも、拓海のこういうところ、嫌いじゃない。

 いつ拓海と勝負をしても、『絶対に強くなってやるんだ』って意気込みを感じる。拓海はきっと、今よりずっと強くなると思う。


「私だって、そんなに簡単に拓海には負けないよ?」

 勝負をするなら、私も全力だ。拓海が初心者だからって、手加減はしない。

「でもここんとこ立て続けにアイス食べて、太っちゃったかも……」

「夏美はもうちょっと肉つけたほうがいいよ。その方が触り心地がいい」

 なんて言いながら、拓海はソファに座り、後ろから私を抱きしめる。

「ほっぺたにかけらついてる」

 拓海は顔を近づけると、私の頬をぺロッと舐めた。


< 120 / 223 >

この作品をシェア

pagetop