お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「学生の頃にね。でもほとんどメッセージのやりとりなんてしてないよ」
聖司さんとのやりとりは、たしか祖父が亡くなったときが最後だったはず。
「園田さん、なんて?」
私がメッセージを呼んでいると、拓海が私の肩に手を置き、一緒に画面を覗き込んでくる。聖司さんからメッセージが届いたのも驚きだったけれど、その内容も、まさかと思うようなものだった。
「次の週末に、子ども囲碁教室のイベントがあるんだけど、私に手伝ってくれないかって」
知り合いの伝手で囲碁経験者のアルバイトを雇っていたらしいのだが、急に用事が入ったらしく、キャンセルになったらしい。
聖司さんからこんなふうに頼みごとをされるなんて、今まで記憶にない。
「夏美、行くの?」
どことなく不機嫌そうな拓海に、「うーん……」と私は曖昧な返事をした。
社交的な拓海にしては珍しく、聖司さんとはどうもうまが合わないらしい。私が『行く』と言いったら、拓海はきっといい顔をしないだろう。
一方で、『なぜ今さら私に?』とは思うものの、兄弟子からのお願いを断るのも気が引ける。
「手伝いって言っても、一日だけみたいだし。行っちゃダメかな?」
「……まあ、夏美がどうしてもって言うならいいけど」
やっぱり、歯切れが悪い。