お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「最初に拓海との婚約が決まったのは、たまたまです。両家の親同士で、結婚するなら年が近い方がいいよね、って話になったらしくて」
「……そうなんですか」
親に結婚相手を決められちゃうなんて。今の時代でも、そんなことがあるんだ。しかも……。
「そんな理由で、って思いますよね? だから拓海が私との婚約を破棄して夏美さんと結婚するって聞いたとき、ホッとしました。そしたら今度は、湊人さんとの婚約話が両家の間で持ち上がって」
「それじゃ、佐奈さんは拓海が私と結婚するから、湊人さんと婚約する羽目になったんですか?」
拓海がダメになったから、湊人さんとの縁談を調えたってこと? あっちがダメになったから、次はそっちだなんて、そんなのあんまりだ。
顔色を変える私に、佐奈さんは「待って、違うんです夏美さん!」と両手を振った。
「違うの。……私本当は、子どもの頃からずっと湊人さんのことが好きだったんです」
「えっ、そうなの?」
……そうか、だからあんなに幸せそうだったんだ。
佐奈さんと湊人さんの結婚は、両家の親から無理強いされたものではない。だってそこには気持ちがあるから。
……そう、契約をもとに結婚を決めた私と拓海とはまったく違う。
頭をガツンと殴られたみたいだ……。