お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~

「子どもの頃からってことは、湊人さんは佐奈さんの?」

「ええ。湊人さんは私の初恋の相手なんです」

 よくよく聞いてみたら、物心ついたときから、佐奈さんは湊人さんのことを好きだったらしい。

「あの、失礼ですけど佐奈さんておいくつなんですか?」

「私ですか? 今23歳ですけど」

 ということは、佐奈さんは20年近くもの間、湊人さんのことを想っていたのだ。そして、初恋を成就させた。……なんて一途な人なの。

「たしか湊人さんは、今年で32歳になられるんでしたよね? 10歳近くも上の人に嫁ぐことに不安はないんですか? それに、佐奈さんまだ若いのに」

 もう少し遊びたいとか、もっと社会経験を積みたいとか、その年頃の子なら、思うんじゃないだろうか。

「不安? どうして? 大好きな人と結婚して一生添い遂げることができるんですよ。幸せだとは思うけれど、不安に思うことなんて一つもないわ」

 そうきっぱりと言い切ると、佐奈さんははにかんだ笑みを浮かべた。

「……それに、湊人さんも私との縁談に最初は戸惑っていたようだけれど、今は前向きに受け入れてくれていると思います。……大事にされている、と感じますし」

 そう言って、耳まで赤く染めている。

 佐奈さん、愛されてるんだな。自分が長年想っていた人と結ばれるからだけじゃない。彼女が幸せそうなオーラを発していたのは、大好きな人に愛されているという自信があるからなんだ。


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