お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「夏美さんはそうじゃないんですか?」
「え?」
わからない、というふうに佐奈さんが首を傾げる。
「不安要素があるのに、拓海と結婚したの?」
「それは……」
彼女の問いを、はっきりと打ち消すことはできなかった。だって私たちの結婚は、彼女たちとは事情が違う。
親から決められた結婚でも、順調に愛を育んでいる佐奈さんたちとは……。
ちゃんとわかっていて拓海と結婚をしたのに、覚悟も決めたはずなのに。
いつまでたっても、こんなにも胸が痛い……。
「にゃあ~」
何も言えずにいると、拓海の部屋に籠っていたはずのこはるが、突然飛び出して来た。
「あっ、こはるダメ!」
「……こはる?」
佐奈さんに気がつくと、勢いをつけて飛びかかった。
「佐奈さん、大丈夫ですか!?」
知らない人が家にいて、興奮してしまったのかもしれない。引っ掻いたり、怪我をさせてなければいいけど……。しかし、私の心配は杞憂だった。
「久しぶり。いいこね」
佐奈さんを傷つけるのではと心配したのも束の間、こはるはゴロゴロと喉を鳴らし、佐奈さんの膝に乗って甘えていた。