お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「……あれ、なんで?」
「この子の親猫は、うちの実家にいるんです。子猫たちが生まれたとき、拓海にも飼ってもらえるよう私がお願したの。生後まもなくして、ここへ来たのよ」
にしては、こはるは佐奈さんによく懐いている。これは、どういうこと?
「こはるって、拓海さんにしか懐いてくれないんです。私がいくらお世話してもダメで……」
「拓海に引き取ってもらったあとも心配で、何度かようすを見に来てたんです」
佐奈さんが体を撫でると、こはるはなんとも気持ち良さそうに目を細めている。私がどんなにこはるに心を砕いても、絶対に見せてくれない顔だ。
「それに、結婚のことで相談もあったし」
拓海に相談って、湊人さんとの結婚のこと? ……それとも、最初に持ち上がったという、拓海との縁談の方だろうか。
訊いてみたいけれど、やっぱり訊けない。決定的な言葉を聞かされるのが怖い私は、佐奈さんに抱かれくつろいでいるこはるをジッと見つめていることしかできない。
「夏美さん、この子のこと気にかけてくれてるのね。毛並みも綺麗だし、元気そうで安心しました。……でも今のままじゃ、きっとあなたには懐いてくれないと思うわ」
「えっ、それはどういう……」