お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「私、そろそろお(いとま)します。夏美さんおじゃましてごめんなさい。お話できて楽しかった」

「えっ、もう? せっかく拓海も帰って来たのに」

「拓海なら、顔を見れたからもういいの」

 ずいぶんとつれないことを言う。幼馴染みって、こんなに素っ気ないものなのかな?

「相変わらず俺の扱いは雑だな」

「ごめんなさい。私は湊人さんだけで手いっぱいなの」

 ふふふと、可愛らしい声で佐奈さんが笑う。


「俺、ちょっと送ってくるよ。行こう、佐奈」

「ああ、うん。気をつけて」

「それじゃ、夏美さんまた」

 柔らかな笑みを残して、佐奈さんは帰っていく。二人が去ったあとも、こはるは寂しそうに玄関の前で鳴き声をあげていた。


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