お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~

「夏美、つまみ買ってきた。佐奈がくれた酒開けよう」

 拓海は佐奈さんを送った帰りに、スーパーに寄って来たらしい。焼き鳥や生ハムを使ったサラダなど、肉類中心でちょっと重めのものが多かった。

「お腹空いてるんでしょ。ごめんね、まだ夕飯の用意できてなくて」

「いいよ、佐奈が来てたからな。飯は炊けてるんだろ? もの足りなかったら、雑炊かお茶づけでも作ってやるよ」

 私に優しく微笑むと、拓海は晩酌の用意を始めた。お惣菜を温めたり、食べやすいようトレイから皿に盛りつけなおしたりと手際がいい。佐奈さんが持って来てくれた日本酒は、冷酒用のカラフェに移して、冷やしてくれていた。


「ほら座って。夏美は日本酒いけるんだっけ」

「好きだよ。ありがとう」

「それじゃ、乾杯。佐奈の相手お疲れさま」

 そんな、まるで面倒くさい人の相手をしていたみたいな言い方しなくても。幼馴染みって、そんな感じなのかな。

「私は佐奈さんと話せて楽しかったよ。乾杯」

 複雑な気持ちにはなったけど、と心の中で声には出せないセリフを吐く。


 日本酒を一口含むと、「ああうまい!」と拓海が声を上げた。本当に口に合うようで、おつまみと一緒に、すいすい飲んでいる。


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