お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
 とりあえず、早くうちに帰って話そう、と拓海が言ってくれた。私にも、彼に訊きたいことがたくさんある。

 その前に、まだ控室に残っているだろう湊人さんと佐奈さんに挨拶をしに行こうということになった。


「兄貴、入ってもいい?」

「ああ、どうぞ」

 ノックをしてドアを開けると、着替えを終えてくつろいでいるふたりの姿が見えた。

 ひと休みしてから、二次会に向かうつもりなのだろう。湊人さんはドレッシーなダークスーツを、佐奈さんはふんわりとしたレース素材のワンピースを身につけている。佐奈さんは年齢に合った可愛らしい格好なのに、湊人さんと並ぶとちゃんとバランスが取れているから不思議だ。

年の差があろうと、それだけお似合いの二人だということなのだろう。


「ふたりともおつかれさま。いい式だったよ」

「拓海も夏美ちゃんもありがとう。疲れただろ」

「それはおふたりの方でしょう?」

 お互いに式の感想を言い合って、私と拓海も、式の最中に写した写真を早速ふたりに見てもらったりした。

「次はいよいよ拓海と夏美ちゃんの番だな。先に入籍をしたのはそっちだったのに、順番を守らせて悪かったよ」

 拓海の口からなかなか結婚式の話が出ないと思っていたら、そういうことだったの?

「いいんだよ。俺たちはゆっくり準備するから。な、夏美」

「……え? う、うん」

 私たちが、結婚式を? ついさっきまで拓海とは離婚をするつもりだっただけに、なんだか実感が湧かない。


< 183 / 223 >

この作品をシェア

pagetop