好きなんだから仕方ない。
危ない賭けだ。でもしなければ神の住み処へ来る可能性も無くなる。他に方法もない。神も魔界の王ももう助けてはくれないんだ。そんな力、残っていないんだ。

「僕たちが守る。何もしなくて良い。お前は黙って守られていて良いんだ」

「泣くのは終わってからだ!さっさと特定するぞ!」

「案内お願いね、エイミアちゃん」

エイミアは上がらない腕で城を指差してあそこと口を動かした。声は出ていない。もう心臓を動かすのがやっとなのだろう。
泣きながら抱き締めた僕の肩を掴んで後継者の一人、リナゲツが叱ってくれた。そして他の後継者、イサラがエイミアの手を握ってから立ち上がった。
自分が神の住み処で生き続けるためにエイミアを連れて帰る。そう思っている奴はきっといるだろう。そのためにたくさんの使いを失ったのだから何としてでもと思っているだろう。
本当ならそれが正解なのかとも思う。
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