好きなんだから仕方ない。
切なさや悲しみもある一方で嬉しさも混ざった複雑な笑顔で彼女に手を振り替えしていたんだ。彼女に言った、神になる前からの仲という言葉に答えがあるのか。
俺に言った、今の名前という言葉も気になる。俺は産まれてからずっとガドウという名前で育ってきた。途中で改名した記憶も無いし話も聞かない。いつの事を指した言葉だったんだ。

「すみません。俺、神様だったなんて知らなくて無礼な言葉使いしてしまいました」

「良いの。二人の時は敬語は止めよう?」

「でも、良いんですか?俺、結構口悪いですよ?」

「良いの」

聞こえていた声とは全然違う。彼女はずっと笑顔を崩さない可愛らしい魂だった。
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