好きなんだから仕方ない。
「え・・・?」

「また泣いてる。理由は知らんが、独りになるな。今日からは俺もいる。だろ?」

「・・・えぇ、ごめんなさい」

飛んでいた私を肩に乗せると、彼はまた泣いていると教えてくれた。誰か、神になる前にも方法は違えどこうやって励ましてもらっていたような。
気のせいかな。神になる前、エイミアだった頃の記憶はもう思い出せない。忘れてしまったなんて優しい物じゃない。消滅してしまったなんて簡単な物じゃない残り方。だから理由も分からないのに気を抜いたら泣いてしまう。
部屋の片付けを任せて私はそのままガドウの首にもたれ掛かった。そうするだけでとても安心できた。心がすっと楽になっていくのを感じた。この感情、この行動が神らしくない事は分かってる。でも、今の私の心にはこれがないとやっていけない気がした。
それからは他愛のない文句を言い、言われながら散らかった部屋を綺麗にしていった。
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