好きなんだから仕方ない。
クロエラが出ていってから大きなため息を吐いてしまった。何もしたくないのに、王座なんて興味がないのに。周りの期待が大きすぎて動かずにはいられない。でも、どちらも取ろうとすればどちらも悪い方へ進んでしまう。もっと他に助言をくれる人がいたなら。

「っ!?・・・兄上?」

「エイミア・・・、俺の・・・大切な・・・」

「・・・すみません、彼を彼の部屋へ運んで頂けますか?クロエラ、そのままついてきて」

「かしこまりました」

外が騒がしくて自室の扉を開けると長男が倒れ込んできた。一瞬、何事かと思ったけれどすぐに状況は理解できた。
長男が夢うつつのまま城内を彷徨、約束していた私の部屋へと行き着いたのだろう。律儀というべきなのかしら。
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