好きなんだから仕方ない。
彼女を連れてきた事への謝罪の気持ちなのか、一緒に暮らしてきた親として心配になっているのか。人の親になった事のない俺にはまだ分からない。でも、誠心誠意込めて頭を下げた。それが人の親ではない俺たちに出来る最大の反応だと思ったから。

「こりゃ酷いな・・・。クロエラさん、あなたの部屋は?」

「問題ないようです。今はこちらで我慢して頂きましょう」

「・・・無理すんなよ。本当は嬉しいんだろ?自分のためにエイミア様が取り乱してくれて」

俺の部屋のベッドにエイミア様を寝かせると、専属の兵士の中で一番年長であるヅヌダクが俺の頭に手を置いた。
あぁ、そうさ。俺の事をそこまで愛してくれていたんだって知れてとても嬉しい。頑張って平然を装わないとにやけて止まらないくらいだ。でも、一応まだ仕事中だ。先程のような失態を繰り返すわけにはいかない。
何でなんだろうな。向こうの手の内が分からない以上、まだ安心しちゃいけないと分かっているのに。
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