好きなんだから仕方ない。
あいつがもし、本当に何か企んでいて村の生存者が誰もいないのなら。エイミア様はもう逃げて身の安全を確保しているかもしれない。荒れ野となった村に行っても無駄足となってしまうのでは。直接その村に行った方が良いのでは。

「おっさん。その村、ここだぞ」

「あら?看板が新しくなってる。・・・ねぇ、これっておっさんの名前じゃねーの?」

「これは・・・。カナケト、心当たりはあるか?」

数日後、エイミア様の故郷があった荒れ野へと到着した。そこは建物の残骸さえ残っていない、本当に何もない所に木の板で作られた簡易的な看板が一つあるだけ。手掛かりは見付かりそうになかった。
男に問いかけられ、看板を見てみると郵便物をカナケトへ送るよう書いてあった。それもまだ新しい焦げ目。でも、エイミア様の字ではない。
ヅヌダクならまだしも、有名でもないカナケトの名前を使っているとなるとエイミア様が提案し書かせた?一体誰に?
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