君と憩いの場を~魔法絵師ラナ~
マルスティアには、いくつかの国が存在していて、私たちが住んでる国、クロノスと、大きな森と小さな山を挟んである隣の国、カイロスは何十年も前から対立をしてるんだ。

私と紫羅は、クロノスの郊外に住んでるから、あまり被害は無いんだけど。

「……そうだね」

そう呟いた瞬間、温かい風が吹いて、私の赤髪を揺らした。

「……ラナ」

寝転がってた紫羅は、体を起こして私を見る。その時、近くから爆発音が聞こえた。

「……っ!」

私と紫羅は、同時に音がした方を見る。何かの群れ……あれは……。

「まずい!カイロスの人だ!」

そう呟いて、紫羅は魔力を固めて作った杖を握った。

杖や武器は自分の魔力を固めて作らないと、本来の力を出せなくなってるんだよね。邪魔だから、使わない時は魔力を分散させて消してるんだ。

「……分かった」

私は魔力を込めて、筆ペンを作り出す。空中に、ペンを走らせて、刀を描いた。その刀の上に、マルスティアの文字で『炎』と書く。

「マテリアライズ!」

空中に現れた刀の刃には、炎が纏わりついてた。魔法でも炎を纏わせられるけど、こっちの方が魔力を抑えられるから、私は武器を作るときに一緒にしてしまうんだ。

「……」

紫羅と顔を見合わせて同時に頷くと、軍隊に向かって走り始める。
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