今夜、あなたに復讐します
 ものすごいエンジョイして、なにも探せなくなりそうだ、と夏菜が常夏の島のバカンスを思い浮かべたとき、男が言った。

「そうだな。
 そうしようか。

 だが、金がない」

 有生が口を開きかけたとき、いきなり扉が開いて、指月が現れた。

「もう駄目ですよ、社長っ。
 これ以上雇えませんよっ。

 自分を狙ってきた奴を次々雇うのやめてください。

 会社がパンクします!」

 どうやら、他にも何人か雇っているようだ。

 ……もしや、意外と人がいいのか? と思ったが、有生は、
「俺が拾うのは優秀な奴だけだ。
 なにか優秀なところを見せてみろ」
と男に言う。

 わかりましたっ、と男は言った。

 いや貴方、人生を見失うほど、ずっと付け狙っていた相手にそんなに雇われたいのですか?
と思ったのだが。

 まあ確かに、有生に命じられると、何故か、はいっ、閣下! とか言って、下僕のように働きたくなる雰囲気がある。

 たぶん、若造なのに、やけに落ち着き払ったこの男についていけば、この先の人生、きっと大丈夫っ、的な雰囲気を有生が(かも)し出しているからだろう。

 迷える子羊たちが無条件に従いたくなる貫禄とカリスマ性が有生にはあった。
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