今夜、あなたに復讐します
 いやいや。
 好きとかないな。

 ただ、見張っとかねばと思うだけだ。

 一日一度は顔を見て――。

 俺の命を狙ってる奴だからな。

 違った。
 俺をぽこりとやろうと狙っている奴だからな。

 ……どうでもいいな。

 ともかく、俺はあの油断ならない女を見張らねばと思っているだけだ、と心に刻み付ける。

 やり返すつもりで、軽くキスしたとき、驚いたように自分を見上げてきた夏菜の顔を思い出していた。

 あいつ、絶対キスとかしたことないな。

 箱入り娘っぽいもんな。

 人気者の先輩に背後から肩をつかまれただけで、投げ飛ばすくらいだからな。

 ……入ってる箱が道場ってのがちょっと怖いが。

 頑丈すぎる……と思いながら、有生は仕事に戻った。




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