今夜、あなたに復讐します



 おや、またツルがかかっているようだ……と車の入れぬ山道を歩いていた夏菜は思う。

 木々の間に仕掛けてあった網の罠に、あの青年がかかっていたのだ。

 指月に言われて、夏菜の祖父の道場を目指していたはずの青年だ。

「すごいじゃないですか。
 一度目でこんなところまで来るなんて」
と夏菜は褒める。

 明日はもっと進めるかもですよと言ったが、
「まず、この罠から出られませんけどっ?」
と青年は文句を言ってくる。

 まあ、この網、普通の網じゃないもんな~、と木のかなり高い位置に仕掛けてある網を見上げたあとで、夏菜は、

「しすこんさん」
と呼びかけた。

「それ名前じゃないです……」

 いや、他に呼び名がなかったので、と思いながら、夏菜は、はは……と苦笑いし、

「今、加藤さんを呼んで来ますねー」
と屋敷の方を指差し、言ってみた。





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