蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

二人で並んで歩きながら、蓮人兄さまがカートを押してくれる。仕事帰りの蓮人兄さまはやはり今日も目立っているが、そんなことはまったく気にすることなく、珍しそうに野菜を手にしている。

「蓮人兄さま、そのキャベツよりこっちがいいです」
「そうなのか?」
私の言葉に素直にそれを置くと、私の手からキャベツを取りカートへと入れる。

「鏡花」
静かに呼ばれ私はハッとする。外にいる時ぐらいは〝兄さま”はやめろと何度言われても、なかなか直せずにいる。
確かに他の人から見たら、どういう関係だと思われるだろう。
もちろん本当の兄妹だとしても、〝兄さま”とはこの年で言わないかもしれない。

そう思いながらも私は口をつぐんでしまった。

「後は何がいるんだ?」
そんな私を深く追求することなく、蓮人兄さまは周りを見回した。
「本当にロールキャベツでいいんですか?」
意外にも食べたいものを聞いたら、その答えが返った時には驚いた。

「ああ、コンソメがいい」
「じゅあ、ひき肉と卵とコンソメと……」
いるものを探しながら、大きなスーパーを二人で歩いていると本当の結婚と錯覚しそうになる。

政略結婚という事実を忘れないようにしなければ、そう思いながらも私はだんだんと二人の生活に慣れて幸せを感じてしまっていった。




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