蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「頭を上げろ」
静かに言われ私はおずおずと顔を上げた。蓮人兄さまはセットされていた髪をクシャりと崩しながら、もう片方でネクタイを緩めると踵を返した。

「ついて来い」
「え?」
言っている意味が解らず、私は座ったまま蓮人兄さまを見上げた。
ジッと蓮人兄さまは私を見ると、小さくため息を付くと私の手を取り立たせた。

「こっちだ」
手を引かれるままリビングを出ると、そこは15畳ぐらいのゲストルームだろうか? 
ホテルの一室のような部屋だった。

「ここを使え」
ぶっきらぼうに言われた言葉に、私は驚いて目を見開く。
「今更帰れないだろ。それに帰ったところで、真知子さんが納得しないだろう」
思い込みの激しい根っからのお嬢様のお母さんのことだ。確かに何を言っても聞いてくれない気がする。

「でも、蓮人兄さまはいいんですか? 私みたいな女が家にいて……」
私との政略結婚がいやで、幸せになるはずの真翔さんの結婚すらぶち壊そうとすらした蓮人兄さまだ。
きっと彼女だっているはずだろうし、私は邪魔ものだ。
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