嘘恋~キスから始まる君との恋~

それからも、昼休みに一緒に昼食を摂ったり、一緒に帰ったり、休みの日に出かけたりしていた。
休日に出かける時は、毎回手を繋いでいた。その度、嬉しいと思うと同時に美香への罪悪感が生まれていた。

それ以上に、蒼宙先輩といると胸がチクンとする。言葉行動1つに、アレコレ思うようになった。

でも美香の好きな人だから。って。

苦しくなった。


ある日の帰り。
雨が降っていた。


<碧、傘ある?>

<無いです>

<だよなあ、俺と相合傘したい人ー>

<しーん>

<あっそ、入れてやんね>

<ごめんなさい入れてください>

<笑笑>


昇降口で雨を眺めながら待っていると、


「お待たせ、HR長引いちゃってさ」

「ううん、大丈夫」

「じゃあ行くか」


蒼宙先輩の黒い大きな傘に2人で入る。

何だかんだ、この関係も2ヶ月半になる。梅雨の時期になってしまった。


「今日はどこ寄る?屋内がいいよな」

「…うん」

「なんだよ、歯切れ悪いな」

「そう?」


嘘恋カップル、そろそろ終わりにしなきゃな。
苦しいだけだ。


「今日は真っ直ぐ帰ろ。雨強くなるみたいだし」

「あー、そうなん?帰るか」



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