嘘恋~キスから始まる君との恋~
沈黙が続く。
「今日は質問してこないの?」
「ネタ切れ」
「まあ最近はネタ切れか」
「マンネリ化倦怠期?」
「やめろよ、縁起でもない」
縁起でもないというか…
「何、黙っちゃって」
「蒼宙先輩さ」
「改まってどうしたんだよ」
「この関係終わりにしませんか?」
「あ?」
いつもより低い声に聞こえた。
「なんで?」
「質問のネタ切れたってことは、友達に提供するネタも切れたってこと。そしたら、私は蒼宙先輩と付き合う理由ないじゃないですか」
そうだ、付き合う理由なんて……本来ないんだ。
自分で言っていて少し泣きそうになった。
「だからもういいですよ、付き合ってくれなくて。ありがとうございました。あとは友達にバトンタッチします。友達は可愛いので、理想の彼女じゃないですか?私とは違って、自慢できる彼女ですよ」
半ば捲し立てるように言っていた。
「…なあ、本気で言ってる?」
「なんで怒ってるんですか…」
「なんでってそりゃ…」
蒼宙先輩は目を泳がす。
「家着いたんで、じゃあそういうことで。遠回りなのに送ってくれてありがとうございました」
「ふざけんなっ…」
「っ…」
先輩に後ろから左腕で抱き締められる。右手で傘を持って、そのまま右腕でも抱き締めてくる。
「ごめんなさい」