嘘恋~キスから始まる君との恋~


沈黙が続く。


「今日は質問してこないの?」

「ネタ切れ」

「まあ最近はネタ切れか」

「マンネリ化倦怠期?」

「やめろよ、縁起でもない」


縁起でもないというか…


「何、黙っちゃって」

「蒼宙先輩さ」

「改まってどうしたんだよ」

「この関係終わりにしませんか?」

「あ?」


いつもより低い声に聞こえた。


「なんで?」

「質問のネタ切れたってことは、友達に提供するネタも切れたってこと。そしたら、私は蒼宙先輩と付き合う理由ないじゃないですか」


そうだ、付き合う理由なんて……本来ないんだ。
自分で言っていて少し泣きそうになった。


「だからもういいですよ、付き合ってくれなくて。ありがとうございました。あとは友達にバトンタッチします。友達は可愛いので、理想の彼女じゃないですか?私とは違って、自慢できる彼女ですよ」


半ば捲し立てるように言っていた。


「…なあ、本気で言ってる?」

「なんで怒ってるんですか…」

「なんでってそりゃ…」


蒼宙先輩は目を泳がす。


「家着いたんで、じゃあそういうことで。遠回りなのに送ってくれてありがとうございました」

「ふざけんなっ…」

「っ…」


先輩に後ろから左腕で抱き締められる。右手で傘を持って、そのまま右腕でも抱き締めてくる。


「ごめんなさい」


< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop