嘘恋~キスから始まる君との恋~
蒼宙先輩を振りほどいて、家の中に入った。
彼から離れることで、彼に不利益があるのだろうか。
暇つぶし要員くらいいくらでもいるだろうに。
何故、抱き締めてまで…。
でもこれでいいんだ。私は、美香の任務完了した。
翌朝。
「美香、昨日で私のミッションは終了だよ」
「え?そうなの?」
「質問のネタ切れっていうかさ」
「あ、そうなんだ」
「うん。だから今度は、美香の番。私の仕入れてきた情報を元に、あお…菅田先輩の好みの彼女になろ!」
「…そうだね!」
蒼宙先輩を避けるようになった。2年生の階は行かないし、いそうな場所は通らなくなった。
帰るのも、美香と、たまに伍姫ちゃんや萌夏ちゃんがいる感じ。蒼宙先輩じゃない。
あ、ここ、蒼宙先輩と初めて行ったファストフード店。
このカフェで一緒に定期テストの勉強したな。
この道一緒に歩いたな。手繋いで、歩いたな。
あの日以降、先輩からは
<1度話がしたい>
<一緒に帰ろう>
<2人で話したい>
<お願い、何か反応欲しい>
と、LINEが来ている。でも返せずにいる。
当の美香は、サッカー部の蒼宙先輩の所を見るかと言うと見ない。金指くんがいるから見るのが気まずいらしい。