嘘恋~キスから始まる君との恋~
蒼宙先輩のいない日々は、すごく平和だけど、色がなく単調でつまらない。
恋してるふりして、付き合ってたあの2ヶ月半がとても楽しかった。幸せだった。
今じゃ息が上手く吸えないくらい苦しいよ。
このままじゃ、蒼宙先輩は美香のモノ…。
「碧、私菅田先輩の所行ってみたいんだけど、1人じゃ心細いから一緒に来て!」
「え…」
あまり会いたくない。というか普通に会いたくないのに。何が悲しくて、2人が楽しそうに話す所見なきゃいけないの?
「菅田先輩!」
「どうしたの?あ、寺西もじゃん」
胸の辺りが気持ち悪かった。渦が巻く感じ。
私はただ傍に居るだけで、一言も発さなかった。
「あっ!先生に頼まれごとされてたんだった!ごめんなさい!」
美香が急いで立ち去る。
私もそのまま立ち去ろうとした。
「おい待て、既読スルーマン」
聞かなかったことにして足を動かした。
「今までの関係は、無かったことにしてください」
「え…?」
「偽物の恋愛、偽物の恋人だったから、忘れるのは簡単でしょう?」
「そんなこと…」
「無かったことにできますよね?菅田先輩?」
「…できねぇよ」
「なんでですか?」
「いや、だって…」
急に歯切れが悪くなる。