嘘恋~キスから始まる君との恋~
数日後。
美香が神妙な面持ちで話しかけてきた。
「ねえ」
「どうしたの?」
「金指くんのこと、諦めようと思うの」
「へっ?」
100年の恋も冷めるようなことを彼はしたのだろうか。
「こないだサッカー部見てたじゃん」
「あぁ……うん」
「そこでめちゃくちゃカッコイイ先輩いたの覚えてる?!」
「…」
暫し黙考。
「ごめん覚えてない」
「無念わろた」
「へ?」
「いやなんでもない、まあいたのよカッコイイ先輩が!一目惚れしちゃった!」
「金指くんよりカッコイイの?」
「金指くんどっちかというと可愛いじゃん」
「まあそうか、うん」
「それで折り入って頼みがあるんだけど…」
「何?」
「先輩に近付いて、好みとか聞いてきてくだしゃい!」
「やだ」
「即答ーっ」
極度の人見知り、男性恐怖症とまでは言わないが、恋愛経験ほぼゼロの私が、何故?
「美香が1番分かってるでしょ、男性免疫無いって!」
「これからの碧のためを思ってだよ、私の恋のついでに人見知り解消を…!」
「なんでよ…」
「碧ならいけるって!」
「何を根拠に…」
「幼馴染の私が言ってるんだからいける!」
こんな可愛い子に、幼馴染って言われると弱い。