嘘恋~キスから始まる君との恋~
教室に戻ると、好奇の目をした美香が待っている。
まさか、付き合いましたなんて言えない。
「どう?菅田先輩のこと知れそう?」
「上手くいきそうだよ」
「はあー!マジか!!やるじゃん、やるときゃやる女だよ碧は!」
「まあね」
まさか、キスされましたなんて口が裂けても言えない。
「そんな嬉しい?」
「そりゃあね!」
「金指くんからの切替速いね」
「え?んー、まあ…」
放課後になると、先輩からLINEが来ている。
<今日は部活休みだけど、一緒に帰る?>
<友達と帰ります>
そう送っていると、美香がすごい形相で
「送信取消!!!」
と言ってくる。
「え、何で…?」
「菅田先輩と帰りなさいよ!」
「美香の方が大事だし好き…」
「私も碧好き…」
一定数需要ありそうな百合展開台詞大会になってしまった。そういうことじゃない。
「じゃなくて!菅田先輩のこと知ってきてよ!」
「家の場所とか特定して来いと」
「ストーカーはしなくていいけど」
「はあ…美香ならやりかねない」
「なんだと思ってるのよ!帰り道なんて、情報の宝庫でしょ!」
「そーう?」
「はい、スマホ貸して」
「えっあっ」
美香にスマホを取られ、LINEを勝手に打たれる。
<どこか寄り道して帰りませんか?>
<おやつとか!>
「これでよし…と」
うん…美香がいいならいいよ。
<甘い物でもしょっぱい物でも、寺西の好きな物食べようぜ>
と返ってきた。
<校門前で待ってます>
と返しておいた。