嘘恋~キスから始まる君との恋~
土曜日。
家でぐーたらしていると、LINEの通知が鳴る。
<おい、明日出かけるぞ>
と、菅田先輩から。
私の予定は無視ですか。無いですけどね、何も。
<どこ行くんですか?>
<動物園とか散歩とか>
<OKです>
結構王道でいいな。初デートか、私にとって。
美香とはデートしたことあるけど。
スカートだと、狙ってる感強いか…ショーパンにしよ。
翌日。
待ち合わせの駅に着くと、黒で統一してる私服で、カッコ良さ滲み出てる人がいる。なるほど、近付きたくはない。
「なんだよ、声かけろよ」
「なんかイケメンいて、隣歩きたくなかったので」
「褒めてるのか貶してるのかよく分からないんだが」
「自分の服装、自信なくて」
「服でも見て帰るか?」
「時間があったらそうします」
「別に、気にせんでも可愛いと思うけど」
なんなんだよ、褒めるなよ!
お世辞でもなんでもなく、普通のトーンで!
「動物園で何が1番見たいですか?」
「レッサーパンダ」
「え、一緒」
「一緒かよ。可愛いよなぁ」
日曜日ということで、少し園内は混んでいる。
うっかり先輩のことを見失いそうだ。
なんて思っていると。手が温かくなる。
「ほら、はぐれるなよ」
手を繋いできた。