涙の果てにある未来
翌日、早速会うことになった。
1度帰宅し、荷物を整理して家を出る。
ショッピングモールのベンチに座っていると、茶色のベストがよく似合う翼くんがやって来る。
「ごめん、お待たせ」
私は首を振る。なかなか目を合わせられない。
ベンチで他愛ない話をして、解散する。
それから、週3度ほど会うようになった。
携帯を持ってない私は毎回その場で、翼くんと予定を決めていた。
何度か会っているうちに、翼くんとまともに目が合わせられるようになってきた。
多少自然体に話せるようにもなってきた。
ある日のこと。涼しくなってきたため、公園のベンチで話していた。
「今度文化祭あるんだよね、慧桜ちゃん来る?」
「行きたい!」
普通にそう言ったつもりだった。
でも翼くんは、ゆっくり瞬きして、小さく微笑んだ。
「ん?」
不思議に思っていると、急に抱き締められた。
理解が追いつかなかった。
「つ、翼…くん」
「そんな笑顔見せられたら、だめだよ慧桜」
初めて呼び捨てされた。
更に力を強くされる。
「慧桜ちゃん、好きだよ。付き合ってほしい」
「うん…」
私はただ嬉しかった。その後の苦労なんて知らずに。
翌週、翼くんの高校では文化祭があり、一緒に回ることになった。彼女ができたと友達に言ったら、当番を外されたらしい。
一緒に過ごす時間は、あっという間に溶ける。