わたしにしか見えない君に、恋をした。
湊……。湊の姿が視界に飛び込んできた時、張り詰めた気持ちが緩んだ。

どうしてこんなにも湊の存在はあたしを安心させてくれるんだろう。

「流奈、ちょっと遅くなるって先輩から直接親に説明してもらってもいいですか?ってこいつに言って」

「流奈ちゃん、聞いてる?」

先輩には湊の姿は見えていない。

前方ばかり気にするあたしに先輩が不思議そうに問いかける。

「あっ、あの、うち門限が19時で。遅くなるなら親に誰とどこにいるのか連絡しないといけなくて」

「あぁ、そう。じゃあ今すぐちょっと遅くなるって連絡してよ」

「分かりました。じゃあ、先輩がうちの親に話してくれますか?」

「えっ!?なんで俺が?」

「うちの親、誰とどこにいるか正確に知るために一緒にいる人の確認をするんですよ。だから、お願いします」

そう言ってスマホを取り出す仕草を見せると、。

「分かった分かった。じゃあ、とりあえず家まで送ってい――」

先輩はあたしの肩を抱いたまま歩き出そうとした。

「もう門限の時間になっちゃうので、親が車で迎えにきます」

「えっ?」

「今日駅前で遊ぶって親には伝えてあるのでもうすぐくると思います。親が来たら、先輩、挨拶してくれますか?」

「あっ、そうなの?じゃあ、また」

めんどくさいことを嫌がったのか先輩はあっけなくあたしの肩を離した。
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