わたしにしか見えない君に、恋をした。

あたしに手を振ると先輩はスマホ片手に歩き始める。

前方からくる歩行者と接触しそうになっても避けるどころか威圧するように体を揺らして歩いている金山先輩。

「嫌な奴」

呆れたように呟いた湊にあたしは視線を向けた。

「いつからいたの?」

「店でたところで流奈とあいつの姿見つけて近くにいた。別にのぞき見しようとかそういうんじゃないから」

きまりが悪そうな表情の湊に思わず笑みが漏れる。

「知ってるよ。でも、湊がいてくれて助かったよ。ありがとう」

「別に俺はなにもしてねぇよ」

素直にお礼を言うと、湊は照れたようにぷいっと顔をそむけた。

「ハァ……、それにしてもお腹空いたなぁ」

「なんだよ、食べてないのか?」

「食べてないよぉ。さっきの店でもジュースとポテト少しだけ」

金山先輩とのデートの不満を口にすると湊は笑いながら聞いてくれた。
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