わたしにしか見えない君に、恋をした。

「アイツもいなくなったことだし、なんか食べるか?っていっても、俺はそばにいるだけしかできないけどな」

湊が困ったように笑う。

「じゃあ、あそこのカフェ……」

「ん?」

声が聞こえなかったのか湊が聞き返す。

やっぱり男の人はあんまりああいうお店行きたくないのかな。

でも……――。

「あそこのカフェ行きたい」

あたしはそう言ってカフェを指差した。

先輩には嫌だと拒否られたカフェ。

湊ならなんて言うんだろう……。

「いいよ」

湊はそういうと、あたしの左手をギュッと握った。

「おいで」

その声があまりにも優しすぎてギュッと心臓が鷲掴みにされたように苦しくなる。

「こうしてれば俺も流奈と一緒にあのカフェにいる気になれるから」

「湊……」

「あっ、つーか左じゃダメか。こっちだ」

湊は繋いでいた手を解き、あたしの右手に握りなおした。
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