わたしにしか見えない君に、恋をした。
「あれがどうしても欲しいの!!」

あたしは特定の機械の前で足を止め、中の景品を指差した。

少し前から狙っていていつかは絶対に取ってやる!!

って意気込んでいたものの、取れる気配すらない大好きなキャラクターの写真立て。

アミューズメント景品だから非売品でお店には売っていないし、UFOキャッチャーの景品はすぐに入れ替わりいつまでもここにあるとは限らない。

「ちょっとやってみるね」

100円を入れてボタンを押してアームを動かす。

だけど、無情にもアームは空を切る。

「あぁ、もうとれない!!もう一回!!」

もう100円を入れて再チャレンジを試みる。

掴もうと思ってもアームに力がなく、商品を持ち上げることができない。

すると、その様子をじっと見ていた湊がこう切り出した。

「それ、掴もうとしても重いから持ち上がらないっぽくね?角を押して落とすしかない」

「角ってどこ?全然わかんない。ちょっと湊やってみてー」

あたしは100円を入れると、湊の左側に移動して左手をギュッと掴んだ。

こうすれば、湊はあたしを通して機械のボタンを押せるはずだ。

だけど、湊は「こっち」と言って手を解くと右手であたしの手のひらを掴んだ。

「俺、左利きだから」

湊は左手の人差し指でボタンを押してアームを動かした。
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