その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
◇
「それでさ、これが式場の写真」
赤ワインのグラスをテーブルに置いた大森くんが、上機嫌で私にスマホを見せてくる。
それは、全面ステンドグラスに囲まれたどこかのチャペルの写真だった。
「へぇ、素敵ね」
大森くんの言動はともかく、見せられたその写真の場所は綺麗だったから、率直にそう感想を述べる。
「だろ?」
すると、満面の笑みを浮かべた大森くんが、スマホをさらに私のほうへと突き付けてきた。
「ちょうど式場見に行った日が、すごく天気がよくてさー。天井の窓から太陽の光がこう、ばーっと差し込んでて、明るくてめちゃくちゃ雰囲気が良くて。俺も彼女も即決」
「そう」
「あ、そうだ。これも見てよ」
スマホを自分のほうに引き戻した大森くんが、画面を何度かスクロールして、また私のほうに押し付けてくる。
引き腰になりながら、彼のスマホを見ると、そこにはウエディングドレスを着た彼の婚約者が写っていた。