その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「これ、私なんかに勝手に見せて平気なの?」
「平気、平気。それに、碓氷のことは式に招待してないから、ドレスのネタバレにもなんないしな」
「まぁ、そうだけど」
大森くんが撮った写真なのだろうか。
カメラに向かって明るい笑顔を向ける彼女は、とても幸せそうだった。
「あとは、これ見せて、碓氷にもちょっと危機感与えてやろうかなーって」
大森くんがスマホを手元に戻して、私を見ながらニヤリと笑う。
「危機感?」
「そ。俺らの同期の女子のなかで、まだ結婚予定もないのって碓氷だけだろ」
大森くんの余計なおせっかいに、表情が歪む。
「ひさしぶりに会っても相変わらず、『私は私』って感じで仏頂面で働いてるしさ。焦んないのかな、って」
私はワイングラスを持ち上げると、目の前のおせっかい男をジロリと睨んだ。
ほんとうだったら、今日は早く家に帰ってのんびりできたのに。
そんなくだらない話のために、私の貴重な時間が奪われたのか。
俄かにムカついて、手にしたグラスワインを一気にグッと喉に流し込む。