その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「確かに、勝手に誤解したのも、大森さんとのことで嫉妬したのも俺だけど。れーこさんが大森さんのことどう思ってるかとか、そういうのは正直どうでもよくて。俺がれーこさんのことを信頼してないって思われたかったわけでもなくて。ただ、……」
広沢くんが、私の両肩に載せた手にギュッと力を込める。
「ただ、れーこさんが『好きなのは俺だ』ってひとこと言ってくれたら、それで気が済んだんです」
低く響いた彼の本音に、胸がドクンと鳴る。
「それなのに、『ハンバーグ、また今度にする?』とか、せっかく一緒にした買い物をムダにするようなこと言うし。そのままほんとにひとりで帰っちゃうし」
不貞腐れた声でぶつけられる不満に、私はこれまで広沢くんの好意に甘えすぎていたのだと思った。
広沢くんは、私が他人に見せない気持ちの先に気付いてくれるから。先回りして、優しい言葉をかけてくれるから。
だけど、いつもそれではダメで。本当に大切なら、気持ちを言葉にしないとすれ違う。