その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―



「朝ごはんは、会社のコーヒーでいいです。今日、冷蔵庫の中空っぽだから」

私の 顳顬(こめかみ)にキスすると、広沢くんは私ごとゴロンとベッドに転がった。


「れーこさん、こっち見て」

後ろから抱きしめられたまま横向きに転がった私の鼓膜が、広沢くんの低音で震える。

流されるままに肩越しに振り向くと、口端に笑みを浮かべて待ち構えていた彼に、すぐさま唇を塞がれた。

広沢くんの手が私の肩をつかんで、ベッドに仰向けになるように押し付ける。

そうして私に覆い重なると、キスするのをやめて額をコツンとぶつけてきた。


「どうしよう。朝かられーこさんがそばにいるの、ちょっとひさしぶりだから。なんか、いろいろヤバい」

至近距離で私を見つめて頬を染める広沢くんに瞬きを返すと、彼が真顔で問いかけてきた。


「れーこさん、今日の仕事は遅刻かズル休みでいいですか?」

「え……」

< 153 / 218 >

この作品をシェア

pagetop