その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「離して、誠司くん。お父さんが生温い反応しか示さないなら、私がはっきり言っとくべきなの。これは、私とお姉ちゃんとお父さん。それからその人の問題だから」
美耶子は誠司くんの手を振り払うと、広沢くんのことを見定めるようにジッと睨んだ。
「失礼を承知で言いますけど。あなた、若くてイケメンだし、人当たり良いし、お仕事もできるんですよね?8つも年上のお姉ちゃんじゃなくても他にいくらでもお相手がいたんじゃないですか?」
美耶子のキツい口調に圧倒されて、私も広沢くんもぽかんとする。
「ちょ、美耶子……すみません……」
「誠司くんが謝るところじゃないから。もう黙ってて」
誠司くんが気まずげに私と広沢くんに頭を下げるのを、美耶子は怖い形相で押し除けた。
「正直、お姉ちゃんのどこがよかったんですか?顔は普通よりは多少美人なほうだとは思いますけど、これから年齢に勝てるかどうかわかんないですし。性格だって、どっちかというとツンケンしてますし。もしかして、同世代の女よりも貯金持ってて収入がいいからですか?」
「え、美耶子……」