その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
なにを言い出すのかと思って、顔を赤くしてうつむいたら、広沢くんが私の手に重ねた手をギュッと握った。
「でも、本当は周りに気遣い過ぎて自分の気持ちを隠して制御しているだけで。ほんとのことを言えずに我慢しちゃうところとか、黙って自分だけを犠牲にしちゃうところとか、そういうところが俺はずっと気になってて。だから、俺の前だけでは礼子さんがほんとの気持ちを隠さないで済むように。楽しいときにちゃんと笑って、悲しいときに素直に泣けるように。そばで守りたいと思ってます」
広沢くんの言葉のひとつひとつが、ものすごい熱を伴って私の胸に伝わってくる。
あー、もう。家族の前で、堂々と恥ずかしげもなくまたそんなこと……
真っ赤になった顔を、父と美耶子の前であげられそうもない。
だけど、父や美耶子に伝えてくれた広沢くんの言葉は、たまらなく嬉しかった。
広沢くんが話しきったあと、その場が妙にシンとなる。