その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
しばらくして顔の熱がひいてきたのに合わせて顔を上げると、私と目を合わせた美耶子が口角を引き上げて満足げに、ニタリと笑った。
「んー、そうだね。まぁ、65点かな。広沢くん」
「え、わりと低いっすね」
その笑みを見る限り、美耶子もとりあえずは納得してくれたということなのだろうけど……
下された評価に、広沢くんがガックリとうなだれる。
「そう?言っとくけど、今までお姉ちゃんが連れてきた男の中では最高評価よ」
抱っこして欲しくて擦り寄ってきたしょーくんを抱き上げながら、美耶子が悪戯っぽく笑う。
「さすが、れーこさんの妹さん。厳しいですね」
苦笑いを浮かべた広沢くんが、助けを求めるような目でこちら見てくるから、私は笑いながら膝の上で重なった彼の手を握り返した。
「そうだ、広沢くん。よければ、お母さんにも挨拶していってよ」
蟠りが解けたのか、美耶子の広沢くんへの態度が変わったのがわかる。
美耶子はしょーくんを抱っこしたまま立ち上がると、私と広沢くんを和室の奥の母の仏壇へと促した。