その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
◇
「はい、コーヒー」
「ありがとうございます」
ソファーに座って寛いでいる広沢くんに声を掛けると、振り向いた彼が私の手からマグカップを受け取る。
にこりと笑いかけてくる広沢くんに薄く笑い返すと、私も彼の隣に腰を下ろした。
実家への挨拶が無事に終わってほっとしたけれど、なんだか少し疲れてもいる。
「今日はありがとう。それに、美耶子がごめんなさい。最初、いろいろと突っかかってきて……」
「あー、俺も最初すごくドキドキしちゃいました。もしれーこさんのお父さんに受け入れてもらえなかったらどうしよう……って想像はしてたけど、まさか妹さんに厳しくあたられるとは思ってなかったから」
今日の実家でのできごとを思い出しているのか、広沢くんが可笑しそうにクスクス笑う。
「私もびっくりした。結婚して乃々香が生まれるまでは、あんなにズバズバ物を言うタイプじゃなかったのに」