その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
広沢くんからもらったばかりの指輪。傷付かなかっただろうか。
ソファーの前のローテーブルにマグカップを置いて指輪の状態を確かめると、幸いにも傷は付いていなかった。
指輪の嵌まった左手を見つめてほっと息を吐いたとき、広沢くんが私の左手の指をちょんとつかんだ。
広沢くんがマグカップをテーブルに置く、コトっという音と同じタイミングで顔をあげると、彼が熱のこもった瞳で私をジッと見つめていた。
「れーこさん」
名前を呼ばれて、つかまれた指先をちょっとひかれただけなのに、磁力で引っ張られたみたいに私の身体がすとんと広沢くんの腕の中に収まる。
広沢くんの胸にコツンと額をぶつけると、彼がぎゅっと私を抱きしめてた。
私を丸ごと包み込む広沢くんの熱が心地良くて、落ち着く。
広沢くんの胸に頭を擦り付けたら、彼が耳元でくすぐったそうに笑う声がして。それで初めて、無意識の自分の行動を自覚した。
「あ、ごめ……」