その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「秋元。新城さんが来てから、デレデレして彼女のこと甘やかしすぎ」
秦野さんが嫌味っぽくそう言って、秋元くんのことを睨む。
「秦野さんだって、新城さんが初々しくて可愛いからって、妬みすぎ。毎日イライラした顔見せられてるこっちの身にもなってください」
秋元くんは秋元くんでそんなふうに言い返すから、なんだか空気が悪くなった。
無言になった秦野さんは、目を潤ませながらそれでも秋元くんのことを睨んでいる。
「もう、秦野さんの泣き落としが効くやつなんていませんよ」
秦野さんにさらに追い討ちをかける秋元くんも、なかなかに酷い。
「ほら、もうやめて。秦野さんは仕事の続き。秋元くんは新城さんについてあげて」
「はい」
秋元くんはすぐに返事をすると、立ち上がって新城さんのそばにつく。
秦野さんのほうは、何も言わずにしばらくうつむいていた。
声をかけようと思ったけど、なんとなくそんな雰囲気じゃない。
私は彼女の肩をぽん、と叩くとそばを離れて広沢くんのところに向かった。