その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―



「広沢くん、ちょっといい?」

「何ですか?碓氷さん」

ちょうど桐谷くんへの指導に区切りがついたらしい広沢くんに声をかけると、何か期待するような目をした彼が椅子から立ち上がる。


「あ、そのままで大丈夫。ちょっと話したいだけだから」

慌てて制すると、広沢くんが少し不満そうに椅子に腰をおろした。


「何ですか?」

「実は今日の取引先に、新城さんのことを同行させてあげてもらいたくて」

「何で急に?桐谷はどうするんですか?」

私の話を聞いた広沢くんが、キョトンとした顔で首を傾げて、それから隣の桐谷くんのことを見る。

広沢くんに見られた桐谷くんまでもが、何故か私の顔を一緒にジッと見てくるから、なんだか話しにくくなった。

雰囲気が悪くなってる秦野さんと新城さんのリフレッシュのためなんだけど……

そんな事情、桐谷くんには言えないわよね。

曇りのない瞳をキラキラとさせている桐谷くんをしばらく見つめてから、広沢くんに視線を移す。


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