その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「でも、いつから付き合いだしたのかなー。3、4ヶ月くらい前に直接聞いたときには、付き合ってないって言ってたんだけど……」
「今も違うんじゃないですか?」
桐谷くんが菅野さんの話を唐突に遮る。
「広沢さん、秦野さんとは付き合ってないって、この前はっきりと否定してましたよ」
「え?」
真っ直ぐな目をしてそう言い切った桐谷くんを前にして、菅野さんと秋元くんが僅かに目を見開いた。
「同期なんだし、たまに一緒に飲みにくらい行くだろって。そう言ってましたけど」
桐谷くんがそう言って、にこりと笑う。
「そっ、か」
桐谷くんの邪気のない笑みに、菅野さんが頷く。
なんとなくそれ以上続けにくくなったのか、菅野さんはもう広沢くんと秦野さんのことを話題にしなかった。
向こうのテーブルでは、秦野さんが広沢くんと隣に座らされそうになっていて。盛り上がって騒ぐ同僚たちに混じって、新城さんだけが冷めた表情で秦野さんをジッと見ている。
そんな彼らに囲まれた広沢くんは、苦笑いと愛想笑いが混ざったようななんとも言えない表情を浮かべていた。