その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


ビールを飲みながら同僚たちに囲まれる広沢くんをそっと観察していると、彼が不意に私のほうを見た。

助けを求めるような視線に、ほんの少し肩を竦める。

助けてあげたい気持ちがないこともないけど。今ここで私が急に立ち上がって彼に話しかけるのは不自然だ。

動く気のない私を広沢くんが遠くから恨めしげに見てきたけれど、どうしようもできない。

後ろめたい気持ちもありつつ広沢くんから視線を外すと、桐谷くんがほんの少しだけ私との距離を詰めてきた。


「碓氷さん、何か飲み物頼みます?」

声をかけられて手元を見ると、グラスがもうほとんど空きかけている。


「ありがとう」

笑いかけると、桐谷くんがドリンクメニューを私に回してくれた。


「桐谷くんはどうする?」

自分の飲み物を決めてから、私同様グラスが空きかけている桐谷くんにドリンクメニューを差し出す。

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