その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


「え?嫌ですよ。俺が先にここ座ってたんですから。広沢さんが、秦野さんたちのほう戻ってくださいよ。あっち、なんか騒がしいし」

秋元くんが、広沢くんが抜けてもなお賑やかしい向こうのテーブルを煩そうにチラリと見る。


「えー、俺ももういいや。付き合ってるわけじゃないのに、周りが俺と秦野をどうにかしようとうるさいし」

広沢くんがため息混じりにそう言うと、菅野さんが興味深げに目を輝かせた。


「さっき桐谷くんも言ってたけど、広沢さんと秦野さんて本当に付き合ってないんですか?」

「ないよ」

「え、じゃぁ。他に、彼女か気になってる人がいたりするんですか?」

「うーん。まぁ、そうかな」

横から身を乗り出して興味津々な様子の菅野さんにそう訊ねられた広沢くんが、ほぼ真正面に座る私を見据えながら口端を引き上げる。

そんな顔でこっちを見たりしたら、私たちの関係がバレてしまうかも……

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