可愛らしさの欠片もない

「筋書き通り、上手く釣れた。妻帯者であること、離婚話を進めていることを後で言う。直ぐには難しい関係だと、その言葉は少し賭けです。私の気持ちを上手く揺さぶる。そうされると…状況で諦めてしまえば終わり、だから離れてはいけないと、好きならそう思ってしまうから。だから離れることは選ばずつき合うことになった。上出来です。
…あることがきっかけで、知り合いと友人だったと知ります。そして、知り合いが妊娠しました。それは、タイミング的に望まない妊娠なのかもしれないですが、これも想像ですからそこは解りません。それで、友人と言ってるのは嘘ではないけど、ある意味では嘘で、学生の頃からずっと好きだった者同士。…こんなベストな相手はいない。何もかも解り合えてる…そういう感じがいいと思う年齢になった。それに気がついて、実は先々一緒になるために離婚を進めてる。奥さんも同期生なんじゃないかと。私は思ってます。私は奥さんに対して、調べられても困らないために作られた見せかけだけの彼女。本質を隠すための…」

「あ、ちょっと、なんだか……凄いとしか言いようがないな。そこまでよく……あ、馬鹿にしてるってことじゃないよ?そこまで気持ちが追い込まれたのは何故なんだろうね。そんなに疑うって。…実際、うまくはいってるんだろ?関係だってあるんでしょ?」

赤裸々な話になってきたけど。

「…はい。でも、それだって、上手くことを運ぶためには、手段として……割り切ってそういうこともするかも…」

「ぇえ…そんなことを考えながら、その、…してたの?…そんな悲しい…」

いや、それは…。

「いえいえ、さすがに、それはないです。そんな思いがあっては無理です。これは最近考えたことなので」

これでは最近はしてないと言ってるようなもの。

「…仕事が忙しいらしくて、会えてないんです」

「それも、嘘だって思いだしたの?」

「それは、前から過ってました。どんな人なのか、つかみきれてないから」

「ん゙ん゙、はぁ…そういう考えになるってことは信じてないってことだ…」

「信じたいとは思ってます。でも、そうなる、そう思ってしまう要素が一杯だからです」

「不安しかなかったってこと」

「どうしても、不安になることばかり考えてしまって」

「……好きだからでしょ。…壊れてしまえばいい」

え?

「不安でどうしようもならなくなるんじゃなくて、思いっきり好きになって行動すればいいじゃない。その上で騙されてたっていうなら、壊れてしまうだけだ。それがある意味解決だ。訳のわからない想像で先に壊してどうするんだ。だったらつき合わなければいい。不安だと思ってるなら、解らないことを聞けばいい。これをされたら嫌だろう、こんなことばかり聞いては鬱陶しいだろうと、何もかも我慢したら、結局、自分で潰れてるじゃないか」

その通りです…。
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